セクハラについての判例
セクハラで問題となる言動は、相手の意に反する性的な言動をいい、セクハラを受けた人が、嫌だ、不快だと思えばセクハラになります。
例えば、嫌がらせの意図や悪意はなくても、食事の誘いや私的なメールを繰り返し、相手の不快感を与えている以上、セクハラになるのです。
事業主には、セクハラによって労働者が不利益を受けたり、職場環境が悪化しないよう適切な措置を採る義務があります。
会社は、セクハラがあってはならないこと、セクハラを行ったものは懲戒対象となることなどを社内に周知し、セクハラについての理解を深めるために研修などの啓発を行わなければなりません。
<判例>
少し仕事でミスをすると「昨日遊びすぎたんじゃないの?」「君は秋葉原のメイド喫茶のほうが似合うんじゃない?」「処女にみえるけど処女じゃないでしょ?」、職場近くの別の職場の男性をさして「あの男と寝たでしょ?」「エイズ検査受けたほうがいいんじゃない」など、半年以上にわたっての発言は、男性から女性に対するものとしても、上司から部下に対するものとしても、許容限度を超えた違法な発言である。
(東京高判 平20・9・20 労判969) |
「デートしよう」などと、部下を食事に誘うなどの行為は、異性と待ち合わせて会うことを意識させるものであり、仕事に対する労いあるいはコミュニケーションであるとはいえない。
(ファイザー事件 東京地判 平12・8・29 判時1744) |
断固拒否しなかったことで合意があったというのは、加害者が、自分と異なる立場の者の気持ちが全く理解できなかったということである。
(日銀京都支店事件 京都地判 平13・3・22 判時1754) |
身体を触りキスをしようとした行為は不法行為であるが、会社のセクハラ防止の取り組みは、マニュアルを作成し、研修もしており、相応の体制は整っており、不十分だったとはいえない。
(住友生命保険相互会社事件 神戸地柏原支判 平22・5・13 判例集未登載) |
セクハラに関する相談、苦情を扱う責任者は、均等法(改正前)、厚木市が定めた「セクハラ防止基本方針」の規程に照らし、公正かつ客観的立場から、必要な調査を尽くして事実を確定し、被害女性が不利益な取扱を受けないよう対処し、上司に対しては必要かつ適正な範囲で懲戒の対象とすることを検討すべきであった。
(厚木市事件 横浜地判 平16・7・8 判時1865) |
相談はしたが、被害者が、「そっとしておいてほしい」と言ったとき、必要なのは、プライバシーや秘密が厳守される安心感のもと、被害者の訴えに耳を傾け、丁寧に話を聞くことで、被害者の心が整理され、望む解決方法を自覚できる相談相手である。
(日銀京都支店事件 京都地判 平13・3・22 判時1754) |
米国の親会社は、「企業の方針について」と題する文書において、セクハラを含む嫌がらせのない職場を提供する旨会社の方針であることを示し、子会社である本件会社も、「従業員行動指針」を作成して全社員に配布するなどし、また管理職をその実践の第一義的責任者としており、管理職である加害者はセクハラの問題性を十分認識していたのであるから、管理職としても従業員としても必要な適格性を欠くと判断したことには理由があった(解雇は有効である)。
(ファイザー事件 東京地判 平12・8・29 判時1744) |
被告Bの右の一連の行為は、異性の部下を性的行為の対象として扱い、職場での上下関係を利用して自分の意にそわせようとする点で原告Aの人格権(性的決定の自由)を著しく侵害する行為である。
(兵庫セクハラ・国立病院事件 神戸地判 平9・7・29) |
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