職場のいじめの防止義務判例

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職場のいじめの防止義務判例

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職場のいじめの防止義務判例

労働者は、雇用契約にもとづいて、服務規律や就業規則に従って、使用者の指揮命令により労務を提供する義務を負いますが、使用者は労働者に対して労働者の働きやすい環境を整えることが義務となります。

(労働者の安全への配慮)
労働契約法第5条  使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


この具体的な内容は、労働者に対して物理的に良好な職場環境を用意することであり、精神的にも働きやすい職場環境を整えることですので、職場のいじめは「生命、身体などの安全」が脅かされている状態ですから、使用者はこうした事態に適切な対応をする義務があるのです。

こうした事態が発生しているにもかかわらず、それを放置したり、是認しているようなことがあれば、この安全配慮義務に違反することになります。

使用者は、それを防止するために必要な措置をとるべき義務があり、職場におけるいじめが発生した場合には、防止義務を怠れば債務不履行もしくは不法行為の責任を負うことになります。

<判例>

安全配慮義務の具体的として、健康管理義務、すなわち、必要に応じて、メンタルヘルス対策を講じ、労働者の精神的健康状態を把握して健康管理を行い、精神障害を早朝に発見すべき義務を負う旨を主張する。

使用者が労働者の精神的健康状態に配慮すべき義務があることは原告らの主張どおりであるが、労働者に異常な言動が何ら見られないにもかかわらず、精神的疾患を負っているか調査すべき義務まで認めることは、労働者のプライバシーを侵害する危険があり、法律上、使用者に上記健康配慮義務を課すことはできないというべきである。

(ボーダフォン事件 名古屋地判 平19・1・24 労判939)

電話相談係や管理係の業務は、制度改正等に伴って増加したことや、勤務態度に問題のあるA指導官がいることも客観的に明らかな事実であり、B課長も認識していたのであるから、業務の増加に伴う職員の勤務実態や健康保持に対し、管理職としての通常の注意を払っていれば被災者の状況に認識し得たと認められる。

B課長は、それにもかかわらず、被災者の実際の業務の負担量や職場環境など何らの配慮もすることなく、被災者を漫然と放置していたと認められる。

したがって、被災者に対する安全配慮義務違反あり、また、被災者の自殺が、業務外の要因によるものではなく、過重な業務との因果関係が認められる。

(社会保険庁公務災害賠償請求事件 甲府地判 平17・9・27 労判904)

会社内で受けた嫌がらせにつき、会社の中で孤立化させ退職をさせるための嫌がらせが長期にわたり繰り返し行われたこと、会社の代表者であったのに当初からこのような事実を知りながら特段の防止措置を取らなかったこと、一部の行為は業務命令として行われたものであることから、会社の代表はそれぞれ不法行為に基づく損害賠償責任を負う。

(国際信販事件 東京地判 平14・7・9 労判836)

原告に発症した「不安障害、抑うつ状態」は同僚の女性社員による上記認定したいじめや嫌がらせとともに会社がそれらに対して何らの防止措置もとらなかったことから発症したもの(業務に内在する危険が顕在化したもの)として相当因果関係が認められ、本件疾病と業務との相当因果関係(業務起因性)を認めなかった本件処分は不適法となり、取消を免れない。

(富士通事件 大阪地判 平22・6・23 労判1019)

一方的で執拗ないじめを制止しないばかりか、これに同調し、謝罪などによって精神的負担を和らげたり、事実報告をしたりという適切な措置を怠り、精神疾患を認識したら事実の積極的調査や速やかな善後策を講ずるべきであったにもかかわらず、いじめ防止のための職場環境整備を怠ったまま職場復帰のみを図った。

使用者には安全配慮義務があり、これを怠った。

(川崎水道局事件 横浜地川崎支判 平14・6・27 労判833)

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