派遣期間の途中で契約解除
必要なときに必要な人材の提供を受けることができるということは、人材派遣の大いなるメリットです。
しかし、労働者保護の観点から、派遣契約を自由に解除することまで許されるものではありません。
逆に不当な行為があった場合、派遣契約を解除しなければならないこともあります。
派遣契約の解除については、後でトラブルとならないように、派遣契約に定めるべき事項(派遣法第26条)および就業条件の明示事項(派遣法第34条)にもなっています。
派遣法では、派遣先が、派遣スタッフの国籍、信条、性別、社会的身分、労働組合の正当な行為をしたことなどを理由として、派遣契約を解除することを禁止しています(派遣法第27条)。
この禁止規定は、派遣スタッフの労働者の人権に係わるものですから、たとえ派遣元との合意の上に派遣契約を解除する場合であっても、これらを理由とする限り、派遣先は契約を解除してはならないのです。
これに違反して、派遣契約を解除しても、その解除は公序良俗に反するものとして無効となります。
したがって、派遣先が契約を解除したとしても、派遣元は解除の無効を主張して契約の履行を求めることができます。
さらに、損害を被った場合には、損害賠償の請求をすることもできます。
派遣元は、派遣先が派遣法の一定の定めに違反した場合、派遣を停止し、または派遣契約を解除することができます(派遣法第28条)。
以下のいずれかに違反したときは、派遣契約を解除できます。
@派遣契約に関する措置(派遣法第39条)
A適正な派遣就業の確保など(派遣法第40条)
B派遣の役務の提供を受ける期間(派遣法第40条の2)
C派遣スタッフの雇用(派遣法第40条の3〜40条の5)
D離職1年以内の派遣受入禁止(派遣法第40条の6)
E派遣先責任者(派遣法第41条)
F派遣先管理台帳(派遣法第42条)
G特殊健康診断結果の送付(派遣法第45条10項、第46条7項)
H労働基準法、労働安全衛生法、じん肺法および作業環境測定法の規定であって派遣先に適用される規定(派遣法第3章第4節)
この場合の派遣の停止または契約の解除は、直ちに行うことができます。
たとえ派遣契約において解除制限事由または解除予告期間が定められていたとしても、その定めは無効となります。
一般的に、契約は、当事者の合意がある場合を除いて、法定の解除事由である債務不履行がある場合以外は、一方的に解除することはできません。
一方的に解除した場合には、債務不履行で損害賠償の責任を負うこととなります。
しかしこの場合、派遣の停止または解除により派遣先が損害を被っても、派遣元は債務不履行による損害賠償の責任を負うことはありません。
派遣契約の解除の意思表示をした場合、将来に向かってのみ、その効力が生じることとされています(派遣法第29条)。
なぜなら、派遣契約は、雇用契約と同様、契約の解除がなされた場合に提供された労働まで遡って返して欲しいといっても不可能だからです。
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