海外派遣の特別事項
人材派遣が海外の派遣先に行われる場合、日本国内の法律が適用されない海外でも派遣スタッフの適正な就業を確保するため、派遣法では、派遣元に事前の届出をするよう定めています(派遣法第23条4項)。
ここでいう海外派遣とは、海外の事業所やその他の施設で指揮命令を受けて派遣就業させることを目的とする限り、海外の法人または個人はもちろん、日本国内の法人または個人の海外支店などにおいて派遣就業させるときもこれに該当します。
ただし、派遣就業の場所が一時的に国外となる場合であったとしても、出張などの形態により業務が行われ、主に指揮命令を行う者が日本国内にいて、その業務が国内にある事業所の責任により行われている場合は、海外派遣には当たりません。
また、派遣期間がおおむね1か月を超えないものについても、海外派遣に該当しないので、届出をする必要はありません(業務取扱要領)。
海外派遣の届出は、あらかじめ、海外派遣届出書を事業所を管轄する都道府県労働局に提出することにより行います(派遣則第18条)。
この場合、下記のように「派遣先が講ずべき措置」(派遣則第23条)を定め、その書面の写しを添付します(派遣則第18条)。
海外派遣を行う派遣元は、その派遣契約の締結に際して、国内の派遣契約に定めるべき事項のほか、「派遣先が講ずべき措置」を書面(または電子メール、ファクシミリ)に記載して必ず派遣先に交付しなければなりません(派遣法第26条3項、派遣則第23条、則第24条)。
派遣先がこの派遣契約の定めに反した場合、その契約について債務不履行となり、派遣元はその履行を派遣先に求めることができ、また、それを理由に人材派遣契約を解除することができます。
<海外派遣で「派遣先が講ずべき措置」として定めるべき事項>
@派遣先責任者を選任すること(国内の場合と同様)
A派遣先管理台帳の作成、記載および通知を行うこと(国内の場合と同様)
B派遣労働者に関する派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講ずること(国内の場合と同様)
C派遣スタッフの派遣先における就業にともなって生ずる苦情等について、派遣元事業主に通知し、その適切かつ迅速な処理を図ること(国内の場合と同様)
D疾病、負傷などの場合における療養の実施その他派遣労働者の福祉の増進に係る必要な援助を行うこと
Eその他派遣就業が適正に行われるため必要な措置を行うこと(国内の場合と同様)
F派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の通知、離職した労働者についての派遣受入禁止に関する通知を行うこと(国内の場合と同様)
G「自由化業務」について派遣を行う場合には、同一の業務について継続して1年以上、派遣受入期間以内の派遣を受け、引き続き同一の業務に従事させるため労働者を雇い入れようとするときの、その派遣スタッフの雇用に関する措置(派遣法第40条の3、国内の場合と同様)
H「自由化業務」について派遣を行う場合には、同一の業務について派遣受入期間を超えて、引き続き使用しようとするときの、その派遣スタッフに対する労働契約の申込みに関する措置(派遣法第40条の4、国内の場合と同様)
I派遣受入期間の制限のない業務について派遣を行う場合には、同一の業務について3年を超えて同一の派遣スタッフを受け入れている場合に、その業務に労働者を雇い入れようとするときの、その派遣スタッフに対する労働契約の申込みに関する措置(派遣法第40条の5、国内の場合と同様)
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