就業条件明示書と派遣先で行う内容
欧米のような契約社会に比べ、我が国では「仕事を教えて育ててあげるのだから多少の無理は我慢しなさい」と労働条件が使用者により一方的に変更されるような関係が、根強く残っています。
しかし、人材派遣にこのような考え方を持ち込んではなりません。
人材派遣は、他社の社員を一定の契約の範囲で使用するものですから、実際の派遣で従事する内容が派遣契約の定めに反していたり、異なったりしてはならないのです。
派遣先におけるトラブルで一番多いのは、契約にないことまで頼まれるといった「業務内容」に関することですから、トラブルを防止するためには、派遣を実施する前に、就業条件の確認を十分に行い、派遣スタッフに指揮命令する社内の者にもその内容を周知徹底しておく必要があります。
派遣法では、このようなトラブルがないように派遣先に適切な措置を講じるよう定めています(派遣法第39条)。
具体的な措置の内容として、次のように、「就業条件の周知徹底」「就業場所の巡回」「就業状況の報告」「契約の内容の遵守に係る指導」その他派遣先の実態に即した適切な措置を講ずることとしています(派追先指針第2の2)。
<派遣先が講ずべき就業条件の確保措置>
@就業条件の周知徹底
派遣契約で定められた就業条件について、その派遣スタッフの業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある著その他の関係者に就業条件を記載した書面を交付し、または就業場所に掲示する等により、周知の徹底を図ること
A就業場所の巡回
定期的に派遣スタッフの就業場所を巡回し、その派遣スタッフの就業の状況が派遣契約に反していないことを確認すること
B就業状況の報告
派遣スタッフを直接指揮命令する者から、定期的にその派遣スタッフの就業の状況について報告を求めること
C派遣契約の遵守に係る指導
派遣スタッフを直接指揮命令する者に対し、派遣契約のないように違反することとなる業務上の指示を行わないようにすること等の指導を徹底すること
また、派遣先の事業主は、自社において派遣契約の定めに違反する派遣スタッフの就業の事実を知った場合には、これを早急に是正するとともに、派遣契約の定めに反する行為を行った者および派遣先責任者に対し派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずるなど適切な措置を講ずることとされています(派遣先指針第2の5)。
派遣実施におけるトラブルを予防するためには、派遣元と、派遣先の協力関係が大切です。
これについては派遣元指針で、派遣元は、派遣先を定期的に巡回するなどにより、派遣スタッフの就業の状況が派遣契約の定めに反していないことの確認を行い、派遣スタッフの適正な就業の確保のためにきめ細かな情報提供を行うなど派遣先との連絡調整を的確に行うものとされています(派遣元指針第2の5)
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