労働契約と就業規則の適用
一般の労働形態では、1つの企業だけで適用される労働基準法の各規定が、雇用関係と指揮命令関係が分離する人材派遣においては、派遣元、派遣先の双方に分割して適用されます。
派遣スタッフの労働契約は、雇用関係のある派遣元で結ばれます。
労働基準法では、労働契約を締結する際に明示すべき事項を定めていますが(労基法第15条)、派遣においても一般の労働形態と変わることなく、派遣元が労働基準法の義務を負わない労働時間、休憩、休日などを含めて、派遣元に明示する義務があります(昭和61年6月6日基発333号)。
就業規則は、多くの社員を統一的・画一的に管理するために定めるルールです。
労働契約を結ぶ場合、労働者は、この就業規則に従って就業することを約束することになります。
したがって、派遣スタッフが本来の労働基準法上の労働者として拘束を受けるものは、派遣元が作成した就業規則です。
派遣スタッフは、派遣元の就業規則に則り派遣先で就業することになりますが、同時に、派遣先の就業規則のうち服務規律などについても、社員に準じて従う必要があります。
これは、労働契約により拘束を受けるのではなく、派遣契約によって誠実に勤務する義務が生じるからです。
派遣スタッフの派遣中の就業条件は、派遣先によって異なるため、多くの派遣スタッフに適用する就業規則に「所定労働時間を9時から」といった、統一した規定はできません。
そこで、派遣元の就業規則では、大枠の仕組みや個別雇用契約書で定めるなどの具体的な労働条件の定め方を規定すればよいことになっています(昭和61年6月6日基発333号)。
なお、労働基準法では 「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に就業規則の労働基準監督署への提出義務を負わせています(労基法第89条)が、この常時使用する労働者の人数は、派遣スタッフも含めた人数です(同通達)。
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