遅刻で解雇する立証
<事例>
太郎さんは、遅刻の常習犯で、その回数が20回を超えたとき、社長は怒り出し、解雇を申し渡しました。
太郎さんはこの解雇を不服として裁判することにしました。 |
会社が労働者を解雇する場合、就業規則の解雇事由に該当していることが前提で、ただし、解雇事由に該当していたとしても、解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、会社が権利の濫用したものとして、無効とされます。
就業規則の懲戒処分に該当するような行為を労働者がしたとしても、それが軽微な事柄であり、かつ初めてだったような場合に解雇をすれば、解雇権の濫用として無効とされるのです。
会社が労働者に不当解雇を訴えられた場合、その解雇は最初からなかったことになるばかりか、会社は労働者に対して損害賠償の支払を命じられる可能性があります。
解雇が有効とされる場合とは、「行為の反復継続性」「行為の様態の悪質性」「被害の重大性」が相当程度でなければならないとされています。
遅刻の常習犯たる労働者を解雇しようとする場合、たとえ遅刻の反復継続性があったとしても、まだこの段階では解雇の正当性が認められません、それは客観的にそれを立証できないからです。
会社は、解雇しようとする労働者が遅刻の常習犯であり、いくら注意してもその行為が改善されず、このままでは他の労働者のモチベーションの低下が避けられず、職場秩序の維持が困難なので、就業規則の懲戒事由によりやむを得ず解雇した、という経緯を客観的に証明しなければならないのです。
具体的な方法として、遅刻のあった日やその時間の長さを記録し、労働者が遅刻する度に始末書を書かせ、証拠としてとっておきます。
事案によっては、労働者に立証の責任が負わされる場合があり、例えば、労働者が自ら辞表を提出したが、会社に退職勧奨をされて強要されて書かされたと、その退職の意思表示の無効を訴えるような場合、立証責任は労働にあります。
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