営業成績不振で解雇
<事例>
会社では営業社員に毎月一定のノルマを課しているのですが、太郎さんは営業部に採用されて1年経っても、一度もノルマを達成したことがありません。
会社も研修などで社員のスキルアップを図っているのですが、太郎さんの成績は伸びないため、成績不振を理由とする解雇通告を行ないました。
しかし、太郎さんは就業規則の解雇理由には営業成績不振の項目はないため、解雇は無効だと主張しています。 |
太郎さんは一般社員として採用されたようですから、成績不振を理由に解雇となる可能性は低いと考えられます。
会社には解雇権というものがあり、従来は就業規則などへの解雇事由の定めがなくても解雇はできるものとされていましたが、労基法の改正で、就業規則への定めが義務付けられました。
また、労働契約法では合理的な事由がなければ、その解雇は無効とされる旨が明示されています。
判例では、「就業規則に記載した事実だけに解雇事由を限り、使用者が自ら解雇権を制約するもの」であるとしています。
就業規則に解雇事由を列挙した場合、社員は記載されていない事実によっては解雇されないということになるのです。
太郎さんの場合、会社は就業規則で解雇事由を決めているにもかかわらず、その中に「成績不振」の項目がないため、原則として太郎さんを解雇できないことになります。
就業規則などの解雇事由に「成績不振」が明示されている場合に、社員を解雇できるかについて、原則として、その社員が誠実に業務に取り組んでいれば、解雇理由とはなりません。
新卒社員などは、人物本意で採用したものであり、採用時にはお互いに具体的な職務遂行能力について合意していたわけではないからです。
ですので、「仕事に対する意欲不足」とか「勤務態度不良」が成績不振の主な原因であり、しかも再三の注意によっても改善されない場合に限って、成績不振を解雇理由とすることができます。
ただし、営業部長やマネージャーとして雇入れられる人など特定の目的を達成するために雇入れられた社員の場合は、一般の社員とは異なり、その目的を達成できなければ、特別の事情のない限り契約違反になり、解雇されることはありえます。
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