一律残業手当を超えて残業
<事例>
営業部では、ほぼ毎日残業が行なわれているため、残業代に代えて営業部員に一律5万円の営業手当を支給しています。
営業部員の太郎さんはこれまで毎日2〜3時間程度の残業をしていたが、担当する顧客が変わって、毎日4時間を越える残業をしなければならなくなりました。
これは1ヶ月の残業代に換算すると、5万円より多くなり、太郎さんはその差額を請求しました。
しかし、会社は営業手当は残業代として支給していると主張し、拒否しました。 |
太郎さんの担当変更により、実際の労働時間に相当する残業代が一律手当の5万円を超えるようになったのであれば、太郎さんはその差額を会社に請求することができます。
会社が支払う賃金には、毎回同額である固定的賃金と、賃金の支払期ごとの事情により額が変わる変動的賃金とがあります。
残業代など所定時間外労働で発生する変動的賃金に賃金支払期ごとに計算するのは大変な作業になりますから、この事務負担を軽減するため、一律の残業代を支払うようにすることは有効です。
しかし、一律手当の額は、実際に働いた時間を計算して算出される額を下回ってはならないのです。
特に、法定労働時間を超えて行なわれたり、深夜や休日に行なわれるような場合には、通常の賃金に加えて割増賃金の支払いも必要になります。
残業代をきちんと計算した額が常に4万円程度で変動しているとき、5万円の定額の手当を支払うことは認められますが、実際の残業額がそれより超えるようになったときには、5万円の定額手当で代えることは許されず、差額を支払わなければならないのです。
この清算は、支払時期ごとに行われなければならず、例えば、一律手当が5万円として、前回の支払期は実際に計算した額が4万円で、一律手当より1万円多く支払ったことになるので、今回は実際の算出額が6万円なので、前回支払った分と相殺する、ことはできないのです。
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