外回り営業でみなし労働時間制
<事例>
営業担当社員は、勤務時間のほとんどを社外の顧客回りに当てており、毎日の業務内容は個々の社員の裁量にほぼ委ねられており、顧客の都合で直行・直帰も度々あります。
そのため、営業担当社員については実際の労働時間にかかわらず所定労働時間分を働いたものとみなす、みなし労働時間制を採用することにしました。
しかし、太郎さんの顧客回りは、例外的に全て上司の指示によるもので、必ず夕刻に帰社して残務処理をしなければならず、みなし労働時間制が適用されると実質的な賃金カットになってしまいます。
他の全ての営業担当社員がみなし労働時間制を承諾する中、太郎さんだけが反対しています。 |
太郎さんの主張は認められる可能性が高いと考えられます。
部署によっては、社員が勤務時間の全てまたは一部を会社の外で勤務し、しかも使用者の具体的な指揮・命令がおよばず、労働時間の算定が困難な場合があります。
その場合には、出社、退社の時間にかかわらず所定労働時間働いたものとみなす「みなし労働時間制」を採用することができます。
その業務を行なうためには通常の所定労働時間を超えて働く必要がある場合には、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」または労使協定で定めた時間、働いたものとみなされます。
この場合、もし労使協定で定めた時間が法定労働時間を超えるのであれば、「事業場外労働に関する協定届」を所轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。
みなし労働時間制を採用するためには「使用者の具体的な指揮命令が及ばず、労働時間の算定が困難」であることが条件となっているのです。
勤務時間の大半を社外で勤務する場合であっても、次のような場合には、これを採用することができません。
@数人のグループで事業場外の労働に従事する場合で、そのメンバーのなかに労働時間の管理をする人がいる場合
A無線や携帯電話などによって、随時使用者の指示を受けながら労働している場合
B社内において、訪問先、帰社時刻など当日の業務の具体的指示を受けたあと、社外で指示通りに勤務し、そのあと事業場に戻る場合 |
太郎さんは上記のBに該当しますから、太郎さんには通常の時間制を採用しなければならないのです。
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