会社の許可のない退職
<事例>
太郎さんは大口受注の交渉に動いていましたが、太郎さんの上司は部下に気遣いがない人で、大口受注の交渉で手一杯の太郎さんにも、連日長時間の残業を押し付けていました。
太郎さんはその上司に我慢できなくなり、大口受注の商談の最終交渉日の2週間前に辞表を出し、会社の許可なく2週間後に退職しました。
急遽、その上司が交渉を代わりましたが勤まるわけもなく、結局太郎さんの不在が原因で、会社は大口受注を逃してしまいました。
会社は、慣行として退職には1ヶ月以上前に上司の許可を得ることになっているとして、太郎さんに大口受注が破談になった損害賠償を求めてきました。 |
本件の場合、太郎さんが2週間前に退職を申し出ている以上、会社の慣行にもかかわらず太郎さんの退職は認められ、会社は損害賠償を請求できないと考えられます。
労働契約には、期間を定めたものと、期間の定めがないものとがあります。
期間を定めた契約を結んでいるときは、やむを得ない事情がない限り、期間が満了するまで退職することは認められません。
しかし、期間が定められていない契約の場合には、基本的に社員は会社の許可を得ることなく、いつでも退職できるとされます。
だからといって、重要な仕事を任されている社員が、前日になって辞めるようなことは許されません。
労働基準法等では、社員の退職申出の期日については特に定められておらず、民法の規定が適用されるとされ、原則として2週間以上前に申し出ればよいことになっています。
ただし、完全月給制をとっている会社では、賃金支払期間の前半に申し出た場合は、その期間の満了まで、後半に申し出た場合は、次の支払期間の満了まで退職できません。
仮に会社が辞表を受け付けなかったとしても、社員が退職の意思を伝えて2週間が経過すれば、自動的に契約は終了し、退職したことになるのです。
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