社内のケンカの怪我で損害賠償
<事例>
太郎さんと一郎さんは、ある日の新商品の宣伝会議で激しい口論となりました。
翌日、太郎さんが一郎さんの個人的な悪口を言っているのを本人が聞き、ケンカになってしまい、とうとう一郎さんは太郎さんを興奮のあまり殴りつけてしまい、全治1ヶ月の怪我を負わせてしまいました。
太郎さんは、一郎さんと会社に損害賠償を求めました。 |
本件の場合、会社は使用者責任を問われることはないと考えられます。
民法では、使用者は、被用者が事業の執行をするうえで第三者に加えた損害については、賠償責任を負うこととされています。
ですから、社員が第三者に暴行を加えた場合、それが仕事と密接な関連があるのであれば、会社はその責任を負わなければならず、ここでいう第三者とは、会社のほかの社員を含みます。
会社が、社員の選任及びその事業の監督に関して相当の注意をしたときは、この責任を免れることになっています。
本件の場合、一郎さんの暴力行為が「事業の執行と密接な関連」をしていたかが問題となり、関連性は、行為の原因、動機、場所、時間などに照らして総合的に判断されることになり、これに当てはめると次のようになります。
@会議における口論は、職務行為から発生したものであるが、このときはいったん収まっている。
A翌日の争いは太郎さんがよけいな悪口をいわなければ、一郎さんの暴力行為は発生しなかった可能性もあるうえ、私的な原因で争いとなっている。 |
これらを考慮すると、時間的、場所的、また動機としても、当初の職務行為から離れてしまっており、関連性はないと考えられますから、会社が使用者責任を問われることはないと考えられます。
安全配慮義務違反を問われた郵便局の判例として、この局内暴力事件では、職責のうえで部下の指揮、監督にあたる上司には、人的な面においても職場内の秩序を維持する責任があるとされました。
職員間のケンカや口論、闘争などが起こらないよう、これらを未然に防止する職務上の義務があるとしました。
そのうえで「当該上司は、喧嘩闘争を未然に防止するべきであったのであり、かかる処置を何ら講じなかったのは、監督者として要求される義務を怠ったものと言わざるを得ず、使用者もやはり民法715条に基づき損害賠償をする義務がある」としました。
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