1年間の試用期間の長さ
<事例>
2年間パートタイマーとして働いていた花子さんが正社員として雇われることになったのですが、1年の試用期間を経てから正社員となる旨を告げられました。
正社員になっても業務はこれまでと全く同じで試用期間は何の意味もないように思われました。
会社は今回初めてパートタイマーを正社員に採用することにしたのですが、通常の試用期間は2ヶ月で、花子さんに例外的に1年間の試用期間を設けたのは、当面の間、賃金を低く抑えるためだけのためでした。
これに対し花子さんは、試用期間中の賃金が本採用後の賃金より1割以上低いことから、異議を申し立てました。 |
本件の場合、会社が設定した1年間の試用期間は不当に長いものと考えられます。
試用期間とは、会社が本採用を決定する前に、社員の職遂行能力や適性などを判断するための期間をいい、長さについては、法の規制はありませんが、一般的に1ヶ月から6ヶ月くらいの期間が設定されています。
また、試用期間中であっても、雇入れの日から14日を経過すると、解雇予告制度が適用されます。
さらに、おおむね6ヶ月を経過すると、最低賃金法の適用除外者ではなくなるとする判例もあります。
花子さんの場合、すでに他の一般社員と同じ業務について相当の期間が経過しているという事実があり、適性を判断するには、ごく短い期間で十分と考えられます。
会社の設定した試用期間は、不当に長いものと判断される可能性が高く、また、試用期間の本来の目的を逸脱し、賃金を低く抑えることを目的とした試用期間は認められる余地はないのです。
花子さんに拒否されれば、試用期間をかなり短縮せざるを得ないものと考えられます。
メーカーが1年を超える試用期間を設けて争われた判例では、まず、試用期間中の労働者は、賃金や解雇の面で不安定な地位に置かれるものであることを認め、1年を超える試用期間は公序良俗に反するとしています。
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