不利益取扱の判例
<判例>
組合の執行副委員長であったXは、工務部門で勤務し、工程改善プロジェクトチーム(直轄チーム)の発足により、同チームに配属された者であり、機械から発生する廃棄物を削減するための研究を行なう日勤(9時〜5時)業務で、電気担当であった。
他方で、Y会社にはメインとなる製造部門があり、その機械オペレーターは三交代制で、採用条件が、工務部門とで若干異なっていた(工務部門には、大卒または工業専門学校卒業の条件が付いていた)。
Yが経営合理化の一環として、直轄チームの解散を含む組織変更を決め、それに伴い31名(直轄チーム6名)について人事異動が行なわれ、Xは、製造部門の機械オペレーター(三交代制)として稼動することとなった。
Xはこのような配置転換が、不利益取扱に当り、かつ、組合の活動を萎縮させるとして支配介入に当ると主張した。
「労組法7条1号が・・・不利益取扱を不当労働行為として禁止していある理由が、このような不利益取扱が労働者らによる組合活動一般を抑制ないしは制約する効果を持つという点にあることからすれば、本件配転が不利益なものといえるか否かは、・・・当該職場における職員制度上の建前や経済的側面のみからこれを判断すべきものではなく、当該職場における従業員の一般的認識に照らしてそれが通常不利益なものと受け止められ、それによって当該職場における組合員らの組合活動意思が萎縮し、組合活動一般に対して制約的効果が及ぶようなものであるか否かという観点から判断されるべきものというべきである。
そして、このような観点からすると、本件配転が会社の従業員の一般的認識に照らして不利益なものとして受け止められるのが通常であるものと推認できる」。
「本件配転が会社側の配転権の濫用により私法上違法、無効とされるものであるか否かの判断がそのまま不当労働行為の成否の判断につながるものでないことはいうまでもないところである。
むしろ、仮に会社側に不当労働行為意思がなかったとすれば配転先として別の部門が選ばれたであろうことが認められ、しかも、従業員の一般的認識に照らして、その部門への配転に比して現に選ばれた配転先への配転が不利益なものと受け止められるものである場合には、そのこと自体からして、当該配転行為について不当労働行為の成立が認められるというべきである」。
(西陣テトラパック事件 東京高判平成11・12・22 労判779)
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