配転拒否の判例
<判例>
Y会社は霞ヶ関工場(茨城県)、島田工場(静岡県)、姫路工場(兵庫県)を有している。
Xは、Yの姫路工場で採用され、30年以上継続して勤務してきた現地採用者で、ギフト係に配属されていた。
YとXの雇用契約書には、「雇用中に、あなたは、他の勤務地へ転勤される事があり」と記載されており、就業規則にも配転・転勤に関する定めがあり、Xの採用当時、広田工場(兵庫県)および姫路工場、島田工場があり、姫路工場でも、現地採用者の転勤が行われており、従業員から個別の同意はとられていない。
Yは、ギフト係を廃止して外注とすることを決定したが、姫路工場内の他部署は人員余剰であったため、同係の従業員に対して、霞ヶ関工場への異動を命じたところ、Xは、実母Aが要介護度2と認定を受け、介護が必要であること、転居すれば病状が悪化すること、田畑や持家があること、子供が翌年受験期になることを理由として、配転を拒否した。
育介法26条によれば、「就業の場所の変更により就業しつつその子の養育または家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者に対しては、これを避けることができるのであれば避け、避けられない場合には、より負担が軽減される措置をするように求めるものであり」、「その配慮の有無程度は、配転命令を受けた労働者の不利益が、通常甘受すべき程度を著しく超えるか否か、配転命令権の行使が権利の濫用となるかどうかの判断に影響を与えるということはできる」。
労働者に「不利益が通常甘受すべき程度を超えるか否かについては、その配転の必要性の程度、配転を避ける可能性の程度、労働者が受ける不利益の程度、使用者がなした配慮及びその程度等の諸事情を総合的に検討して判断する」。
「Xの母Aが要介護状態にあり、Xは、その妻と共に、介護を担当しなければならず、Xが本件配転命令に従うことによって、介護が困難になったり、Aの症状が悪化する可能性があった・・・のに、Yがその点の配慮を十分に行ったとは言い難く」、「本件配転命令によって受ける不利益が通常甘受すべき程度を著しく超えるものといわなければならない」。
(ネスレ日本事件 大阪高判平成18・4・14 労判915)
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