就業規則の拘束力の要件
判例法理を総合した労働契約法7条によれば、就業規則の規定が労働者に対して拘束力をもつには、就業規則の合理的な労働条件を定めていること、及び、就業規則を周知させていることが要件とされています。
労働契約法第7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
就業規則の内容が「合理的」であれば、就業規則やそれによる業務命令に拘束力が付与されます。
判例では、時間外労働命令、懲戒処分、賞与の支給日在籍要件、配転命令権など、就業規則の規定内容が合理的であることを根拠にして、使用者の各権限を承認しています。
労働契約法7条にいる「合理的な労働条件」の意味は条文上明らかではありませんが、労働契約の締結の際の労働条件ですから、使用者が経営上必要とする通常の労働条件であり、労働者に過剰な不利益をもたらすものでなければよいとされます。
判例では、「勤務する意思を削がせる労働条件」あるいは「雇用関係についての私法秩序に適合している」労働条件などとしているものもあります。
使用者は、就業規則の作成・変更に関して意見聴取および届出の義務があり、また就業規則を周知させる義務があります。
意見聴取義務と届出義務とは、就業規則の内容を通じて労働基準の達成状況を監督するための手続であり、手続違反の場合には、効力は生じません。
周知義務について、判例では、周知手続を履行していない就業規則が、強行的効力は否定されないが、拘束力は否定されることになる、されています。
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