派遣労働契約の更新拒否の判例
<判例>
Xは、家庭用電気機械器具の製造業務の請負等を目的とするA会社に、雇用期間2ヶ月(更新あり)で雇用され、Y会社の工場で、Yの従業員の指揮命令を受けてプラズマディスプレイの製造(PDP業務)に従事していた。
そこで、XはYに対して直接雇用を申し入れたところ、団体交渉の結果、Yとの間で雇用期間6ヶ月の契約を締結した。
ところが、Yがこの新たな労働契約につき、更新拒否したので、Xが雇用契約上の地位確認等を請求して訴えを提起。
原審では、請求の多くが棄却されたので、Xが控訴した。
「Aと臨時雇用契約書を作成してPDP製造業務封着工程に従事したXは、A正社員ではなくY従業員の指揮命令、指示を受けて、Y従業員と混在して共同して作業に従事するなどしていたものであり、Yにおいても上記契約が職業安定法施行規則4条1項所定の適法な派遣型請負業務足りうること若しくは労働派遣法に適合する労働派遣であることを何ら具体的に主張立証するものではないから、Y・A間の契約は、AがXを他人であるYの指揮命令を受けてYの上記目的達成のための契約と認めることができる」。
「仮に前者を労働者派遣契約、後者を派遣労働契約と見得るとしても、・・・当時は物の製造の業務への労働者派遣及び受入は一律に禁止され、その違反に対しては・・・派遣元事業者に対する刑事罰が課されるなどされていたものであって、各契約はそもそも同法に適合した労働者派遣足り得ないものである。
そうすると、いずれしろ、脱法的な労働者供給契約として、職業安定法44条及び中間搾取を禁じた労働基準法6条に違反し、強度の違法性を有し公の秩序に反するものとして・・・無効というべきである」。
「そうすると無効である前記各契約にもかかわらず継続したX・Y間の上記実体関係を法的に根拠づけ得るのは、両者の使用従属関係、賃金支払関係、労務提供関係等の関係から客観的に推認されるX・Y間の労働契約のほかなく、両者の間には黙示の労働契約の成立が認められるというべきである。
(松下プラズマディスプレイ事件 大阪高判平成20・4・25 労判960)
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