雇用主以外の使用者の判例
<判例>
X会社は、放送事業等を営む会社であり、Xは、テレビ制作のための映像撮影、フィルム撮影、照明等の業務を請け負う訴外A会社、B会社、C会社の従業員を、その番組制作の現場で就労させていた。
Z組合は、放送会社等の下請事業を営む企業の従業員で構成される労働組合であり、請負3社の従業員でXの製作現場で就労していた労働者の一部を組織していた。
Xは、番組制作にあたり、制作番組や作業時間、作業場所等を記載した1ヶ月間の番組制作の編成日程表を作成して請負3社に交付し、請負3社の従業員は、右編成日程表に従うほか、Xの指示に従い、Xから支給ないし貸与される器材等を使用し、Xの作業秩序に組み込まれて、Xの従業員とともに番組制作に従事していた。
請負3社の従業員の申告により出勤簿が記載され、それぞれの会社が、これに基づき毎月の賃金を計算し支払っていた。
請負3社は各自就業規則を有し、労働組合との間で賃金等について団体交渉を行ない、労働協約を締結していた。
ZはXに対して、賃上げ、一時金の支給、休憩室の設置を含む就労に係る諸条件について団体交渉を申し入れたところ、Xは使用者ではないとしてこれを拒否したため、Zは労働委員会に不当労働行為救済の申立を行った。
地労委・中労委ともに、Zの主張を概ね認め、救済命令を発した。
これに対して、Xは、Y(中労委)命令の取消訴訟を提起し、一審は、中労委命令を支持したものの、二審は、一審判決を取消したため、Yが上告したのが本件である。
「労働組合法7条にいう「使用者」の意義について検討するに、一般に使用者とは労働契約上の雇用主をいうものであるが、同条が団結権の侵害に当る一定の行為を不当労働行為として排除、是正して正常な労使関係を回復することを目的としていることにかんがみると、雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、右事業主は同条の「使用者」に当るものと解するのが相当である」。
(朝日放送事件 最三小判平成7・2・28 労判668)
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