公務中の死亡で遺族補償の判例
<判例>
小学校教諭であったAは、ポートボールの練習試合の審判として球技指導中、意識不明となって入院し、特発性脳内出血の診断を受けた後、死亡した。
意識不明となった当日、Aは、出勤後間もない頃から頭痛等の身体的不調を訴えており、Aは試合中ではなく、それ以前の遅くとも午前中に脳内出血を起していたと考えられる。
Aは、当日、審判の交代を願い出たが聞き入れられず、やくなく試合に参加していた。
Aの妻であるXがAの死亡は公務に起因するものであるとして遺族補償等の支給を請求したところ、Y(地方公務員災害補償基金愛知県支部長)がXの請求にかかる補償をしない旨の決定をしたため、Xらはこの控訴審では原判決が取消され、請求が棄却されたため、Xが上告した。
Aはポートボールの試合以前に脳内出血を起していたとの原審の認定は是認することができるものの、「出血開始時期が・・・試合の審判をする以前であったとしても、右審判による負担やこれによる血圧の一過性の上昇等が出血の態様、程度に影響を及ぼす可能性も・・・十分に考えられる」。
「出血開始後の公務の遂行がその後の症状の自然的経過を超える憎悪の原因となり」、「またはその間の治療の機会が奪われたことにより死亡の原因となった・・・血腫が形成されたという可能性」も否定できず、本件の事実関係からすれば、Xの「特発性脳内出血が後の死亡の原因となる重篤な症状に至ったのは、午前中に脳内出血が開始し、体調不良を自覚したにもかかわらず、直ちに安静を保ち治療を受けることが困難であって、引き続き公務に従事せざるを得なかったという、公務に内在する危険が現実化したことによるものとみることができる」。
(地公災基金愛知県支部長(瑞鳳小学校教員)事件 最三小判平成8・3・5 労判689)
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