組合脱退で解雇の判例
<判例>
XはY会社の従業員で組織するA組合の執行委員であったところ、昭和38年、AとYとの間で紛争が生じ、YはXを懲戒解雇に、その他の組合員も懲戒処分に処した。
Aはこれを不当労働行為として、労働委員会に救済申し立てをしていたところ、同手続中の昭和40年8月2日に和解が成立し、各懲戒処分を撤回するとともにXは和解成立の日に退職する等が合意された。
しかし、Xが退職しなかったことから、同月21日AはXおよびYに対し、Xが組合から転籍した旨通告した。
YはAとの間に、「会社は組合を脱退し、または除名された者を解雇する。但し、会社がその解雇を会社運営上重大な障害があると認めた場合及び解雇が適当でないと認めた場合は、会社と組合は協議決定する」というユニオン・ショップ条項を含む包括的労働協約を結んでおり、同条項に基づき、同月24日にXを解雇する旨意思表示をした。
Xは、同解雇の無効を主張して訴えを提起したところ、一審は請求を認容したが、原審はこれを棄却した。
そこで、Xが上告した。
「思うに、使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。
ところで、ユニオン・ショップ協定は、労働者が労働組合の組合員たる資格を取得せずまたはこれを失った場合に、使用者をして当該労働者との雇用関係を終了させることにより間接的に労働組合の組織の拡大強化をはかろうとする制度であり、このような制度としての正当な機能を果たすものと認められる限りにおいてのみその効力を承認することができるものであるから、ユニオン・ショップ協定に基づき使用者が労働組合に加入しないために組合員たる資格を取得せずまたは労働組合から有効に脱退し若しくは除名されて組合員たる資格を喪失した場合に限定され、除名が無効な場合には、使用者は解雇義務を負わないものと解するべきである。
そして、労働組合から除名された労働者に対しユニオン・ショップ協定に基づく労働組合に対する義務の履行として使用者が行う解雇は、ユニオン・ショップ協定によって使用者に解雇義務が発生している場合に限り、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当なものとして是認することができるのであり、右除名が無効な場合には、前記のように使用者に解雇義務が生じないから、かかる場合には、客観的に合理的な理由を欠き社会的に相当なものとして是認することはできず、他に解雇の合理性を裏付ける特段の事由がない限り、解雇権の濫用として無効であるといわなければならない」。
(日本食塩製造事件 最二小判昭和50・4・25 民集29巻)
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